Warning: reset() expects parameter 1 to be array, null given in /home/users/0/lolipop.jp-dp19151043/web/column/detail.php on line 57

Warning: Variable passed to each() is not an array or object in /home/users/0/lolipop.jp-dp19151043/web/column/detail.php on line 58
ver.26.0 熟し過ぎた禁断の果実 -Dynamite!!2008- - 総合格闘技向上委員会 - 格信犯ウェブ

Weekly Column

Home > Column | Weekly Column > 総合格闘技向上委員会

総合格闘技向上委員会

ver.26.0 熟し過ぎた禁断の果実 -Dynamite!!2008-

marc_nas
2009.02.07
 第一試合からメイン:桜庭×田村戦までの十数試合。どの試合も内容、質ともに素晴らしかった。迎えたメイン、凡戦だった。内容、質ともに。のちに、猪木×アリ戦のように"世紀の凡戦"と詠われるかも知れないが、現時点ではそうは思えない。

 技術論は誰にでも語ることは出来る。ただ精神論(心情)は二人にしか分からないし、それ以外の人が語っても、それは憶測の域を超えることはできない。その上で、戦前、試合直後、今になって思うことを、まとまりきらない思いを秘めたまま吐き出していくとする。
 試合が決まってから、Dynamite!!公式サイト上にて桜庭×田村戦のキャッチコピーが公募された。自分が応募したコピーは「熟し過ぎた禁断の果実」

 オレンジと赤の掛け合わせは、熟し過ぎた。摘み取る最高のタイミングは今だったのか、否、遅すぎたのだ。

 ずいぶん前から、桜庭×田村戦は待望派と否定派で論争が繰り返されてきた。自分は少数派の否定派を貫き通して来た。榊原さん(元DSE代表)が退いた際に、リング上で実現を誓った時でさえ、遅すぎると思った。

 桜庭がリアルにグレイシー狩りをしている頃なら観たかった。なぜなら同じ頃、田村がヘンゾにKOKルールで疑惑の判定勝利したことを、比較対象として語っていた熱狂的田村ファンの鼻っ柱を折って欲しかったから。


試合が決まってから、幾人かに尋ねられた。
「観たいか?」と。

考えても出る答えは同じ。
「観たくはないけれど、観てしまう」と。

やっぱり観てしまった。

 壮大なバックボーンがある限り、この試合にテーマはある。田村も桜庭も、もう残された試合は多くはない。だから、テーマのない試合をしても仕方ないし、ファンも観たくない。

 田村は高田延彦の引退試合という残り一枚の切符を受け取り、そして、見事にKOし、躯を拾い上げた。自分は今回、田村が引退すると思っていので、躯を拾い上げるなら、桜庭しかいないと思っていた。これが、僕が絞り出したテーマ(理由付け)だった。

また、今回こそ、UWFなんて言葉が使われる最後の試合だと思いたかった。

 だけれども、その試合内容に過度な期待など全くなかった。感情がもつれる云々は関係なく、最盛期を過ぎた二人の上手く絡み合わない試合が淡々と行われるだけ。プロレス時代を懐かしみ、プロレスすることさえままならないと思った。

 なのに、僕らファンは必死に意味を見出し、試合までの日々を書き紡ぐ。そう、あらゆるところに「くだらない試合になる」と言い続け、書き続けた。今考えると、それは自己防衛のために自己暗示だったのかも知れない。

 実際、大会が始まると、第一試合が終わって「いいスタート!」と思い、中村×所戦が終わって「いい流れ!」と喜んでしまっていた。

 格闘技は個人競技であり、「前菜からメイン」ではないのは分かっている。まして、なにより期待なんてしていない。けれど、メインまでの準備をしている自分がいた。

 そしてメイン。やはり、皆の期待を裏切った。過度な期待だったのかもしれない。だから、落差で凹んだのかも知れない。あの試合を面白いという人は偏屈者に違いない。もっと言うと、一部の田村ファンだけじゃないだろうか。

 試合後に率直に感じた事。それは、両者ともお互いを過剰に意識しすぎる余り、あのような結果になってしまったのではないのかと。

 いろんなことがあったし、いろんなことを考えたんだと思う。二人の周りを複雑に交差する人間模様。二人はその中心である交差点となり、複雑に絡み合う糸はもつれ、何度か途切れそうになりながらも、対峙することになったが、ほどけることはなかった。

 二人は加害者ではなく、被害者だった。大きな荷物を背負わされたのか、自ら背負ったのか、普通の精神状態で試合に挑めなかった。ただアスリートであるならば、競技に向かう姿としては失格だった。また、プロスポーツマンとしても、エンタテイメントとして魅せるには物足りなすぎた。

 結果、二人はまた背負う事になった。けれど、もうおろしていいと思う。十分傷ついた。もう充分。大会コピーである「踏み出す、傷つく、だけど踏み出す。」というのであれば、「傷つく、やはり傷つく。踏み出したその先に何があったのか。」と問いたい。

 もう「あの時は〜」「UWFという〜」なんて言葉、いらない。青木が、川尻が、MMAのあるべき姿を見せてくれた。プロレス、UWF、ヴァーリトゥードなんて言葉は最後。MMA、ミックスド・マーシャル・アーツ、これが今。UFC全盛の今、日本が世界に立ち向かうなら。さようなら、UWF。こんにちわ、MMA。
[Track Back URL] [Column No.106]