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闘議(とうぎ)

It'sTIME!! -120226_UFC144 Japan-

u-spirit
2012.03.01
 11年ぶりに日本で開催されたUFC144は、全米のゴールデンタイム放映に合わせた結果、早朝9時30分開始となった。以前のPRIDEや大晦日興行と比較して事前のCMも番宣も少なく、ネットでは「チケット販売苦戦」とも報じられていた。ところが僕の予測に反して、到着した聖地は人で溢れかえっていった。それどころか近年見なくなっていた光景にいくつも遭遇する。

 「チケットゆずってください!」のボードを持った若者、大会・選手のオフィシャルウェアを纏って奇声を上げる外国人の多さ、グッズ売り場の長蛇の列、近隣駐車場には各地の他府県ナンバー。

 これまで、こんな悪条件の格闘技イベントなどあっただろうか?朝早い上に東京マラソンと同日開催、交通も宿泊もいつもより不便だったに違いない。それでもファンは日本全国から集まった。皆、それだけメジャー大会に飢えていたんだ。”あの頃の興奮”をもう一度体感したくてウズウズしていたんだ。もしかしたら、あのビッグウェーブが再来するかもしれない!と開始前は少し興奮気味に観戦していたが、大会終了後になると全ての面において格差を痛感し、その厳しい現実に打ちのめされた。

 現在、格闘技世界最高峰とされるUFCはブランク明けの日本人には余りに眩し過ぎた。そのまばゆいばかりのケージから家路へと辿り着くまで僕は何度も考えた。なぜ、あんなに水をあけられてしまったのだろうか?なぜ、日本でメジャー大会は衰退、消失してしまったのだろうか?

 それは、これまでイニシアティブを選手ではなく運営者やテレビ局が過剰に握っていたことにある。そこから実力主義ではなく人気主義という理論を持ち込まれて、中立なコミッショナーもなくブッキングにも理不尽や不平等なイレギュラーが生じた。また義理人情や浪花節で納得させられ、最後には契約事項さえも履行されず、選手はギャラ未払いという状態に陥り泣き寝入りとなった。そんな運営サイドが発信する内容を鵜呑みにし、歓喜していたファンも引っ括めて、言わば日本のメジャー格闘技全体が虚構や幻影に踊らされていただけなのかもしれない。

 例えば格闘技のメジャー大会をいち企業として見た時、ビジョンもなく、世界の流れに対応もせず、平等性や社会性を欠き、安月給や未払いが横行し、自己都合のみで闇雲に経営する会社ならば世間では完全にブラック企業と認定されてしまう。当然、優秀な人材など集まらないし、事業継続なんて出来やしない。今思えば、この惨状は予測された必然だったと言える。

 そもそもいかなる競技においても、競技人口増加とファンが拡充されれば母国という先駆者が先頭を走り続ける事は容易ではなくなる。サッカーの母国イングランド、野球の母国アメリカも世界中に追い抜かれて、今や強豪国の中の一国でしかない。けど、追い抜かれたなら取り返せばいい。あの頃、格闘技に魅了された選手とファンだけは確実に日本中に根付き、今も残存している事実を今回、UFC運営陣に認めさせた。付け加えれば日本が起こした総合格闘技ムーブメントは、単純明快なブルファイト好きだった欧米ファンたちに継承され、わざわざ渡航するほど格闘技ヲタク化するまでに至っていた。

 だからこそ、我々が見てきた直線的な2Dのリングでの戦法は通用しない。オールドスタンダードだと認めよう。第三者であるレフェリーが介入してドントムーブなんて、戦場ではありえないんだ。3Dで立体的な空間を掌握し、変幻自在でタフに動けるUFCファイター以上にコンプリートファイターになれば最強の称号は必ず得られる。今は無理でも希望は充分にある。我々は歩を緩めただけで止めた訳ではないのだから。近い将来、きっと兵が出てくる、理屈抜きの強さを備えアメリカを驚かす日本人選手が。

 It's TIME!! 刻は来た!!これからもUFCへ挑む日本人選手と共に。
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