第3試合 GP一回戦 3分3R(延長1R)
○レイ・セフォー(ニュージーランド/レイ・セフォー・ファイトアカデミー/昨年ベスト8)
●ガオグライ・ゲーンノラシン(タイ/伊原道場/昨年3位)
判定3-0 (御座岡30-26/川上30-26/大成30-26)
※2R右フックでガオグライに1ダウンあり
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総合格闘技向上委員会ver.17.0 リング外で見た友情 ~050923_K-1@大阪~ |
marc_nas 2005.10.03 |
今回ほど、コラム執筆に手こずった大会はなかった。というのも、何も感じなかったのだ。いや、正確にいうと熱くなれなかった。元々、立ち技格闘技より、総合格闘技が好きと言うのもあるが、K-1 MAXには毎回熱くさせられるし、魅力と可能性を非常に感じる。ではなぜ今回、熱くなれなかったのか。それを、自己解決する意味でも、数試合を振り返ってみたい。
谷川流のカラーの違う者同士の分かり易いマッチメイク。私はガオグライのヘビー級戦線での闘いには反対ではあるが、名勝負の予感。蓋を開けてみると、噛み合わず、セフォーがなんとか盛り上げようとするも、結果的に興奮には至らず。
第4試合 GP一回戦 3分3R(延長1R)
○ルスラン・カラエフ(ロシア/マルプロジム/GP最終予選優勝)
●リカルド・ノードストランド(スウェーデン/ヴァレンテュナ・ボクシング・キャンプ)
判定3-0 (御座岡30-29/川上30-27/大成30-27)
○ルスラン・カラエフ(ロシア/マルプロジム/GP最終予選優勝)
●リカルド・ノードストランド(スウェーデン/ヴァレンテュナ・ボクシング・キャンプ)
判定3-0 (御座岡30-29/川上30-27/大成30-27)
マンネリ化する面子の中で今回、ホンマンと並び期待の新星カラエフ。ホーストとの世代交代の闘いが期待されたが、残念ながらホーストの皮膚炎による欠場で消滅してしまった。そこで、カラエフの圧勝を願うが、意外に苦戦を強いられる。しかし、ポテンシャルの片鱗は垣間見ることが出来た。
第6試合 スーパーファイト 3分3R(延長1R)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム/昨年優勝)
●アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム/昨年ベスト16)
4R 判定3-0 (御座岡10-9/岡林10-9/梅木10-9)
3R 判定1-0 (御座岡30-30/岡林30-29/梅木30-30)
○レミー・ボンヤスキー(オランダ/メジロジム/昨年優勝)
●アレクセイ・イグナショフ(ベラルーシ/チヌックジム/昨年ベスト16)
4R 判定3-0 (御座岡10-9/岡林10-9/梅木10-9)
3R 判定1-0 (御座岡30-30/岡林30-29/梅木30-30)
前人未踏の三連覇を目論む王者vs.才能を生かし切れない日陰暮らしのイグナショフとの因縁の対決。絶対王者となるべきレミーの決勝GPへのステップアップを期待するも、消化不良に終わる。同じオランダ人ホーストへのオマージュか、見事なコンビネーション。見栄えのする派手な技は封印し、地味に判定勝利するあたりに、またホーストを見た気がした。
第7試合 GP一回戦 3分3R(延長1R)
○ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム/昨年リザーバー)
●ゲーリー・グッドリッジ(トリニダード・トバゴ/フリー/インターコンチネンタルGP優勝)
1R 2'13" KO (3ダウン:右フック)
○ジェロム・レ・バンナ(フランス/レ・バンナ・Xトリーム・チーム/昨年リザーバー)
●ゲーリー・グッドリッジ(トリニダード・トバゴ/フリー/インターコンチネンタルGP優勝)
1R 2'13" KO (3ダウン:右フック)
今回、最も興奮した試合。プライベートでも交流のあるというグッドリッジにローを打ち込むバンナは非情にも映ったが、それは試合を早く終わらせたいという友情からだったのだ。
それを確信したのは試合後のこと。先にリングを降り、足を引きずりながら退場したグッドリッジ。リング上で表彰され、遅れて退場したバンナが足早に花道を後にし、控え室に戻るグッドリッジをオンブしていたのだ。その後ろ姿に、彼らのリング上で魅せるプロフェッショナルと、リング外で見せる闘った男同士の友情を見た気がした。
第9試合 GP一回戦 3分3R(延長1R)
○武蔵(日本/正道会館/昨年2位)
●フランソワ・ボタ(南アフリカ/バッファローズ/昨年3位)
判定3-0 (御座岡30-29/川上30-27/大成30-29)
○武蔵(日本/正道会館/昨年2位)
●フランソワ・ボタ(南アフリカ/バッファローズ/昨年3位)
判定3-0 (御座岡30-29/川上30-27/大成30-29)
今大会こそは日本人王者をとの期待を背負った武蔵が地元大阪で観客にどういったファイトを魅せるのか。そこに着目して試合を見つめた。ある意味、去年までと同じく順調な仕上がりを見せたともとれるが、あえて苦言を呈すと、代わり映えのしないファイトに少々落胆してしまった。
第10試合 GP一回戦 3分3R(延長1R)
●ボブ・サップ(アメリカ/チーム・ビースト/ジャパンGP優勝)
○チェ・ホンマン(韓国/フリー/アジアGP優勝)
判定0-2 (御座岡28-29/岡林28-30/梅木29-29)
※3R膝蹴りでサップに1ダウンあり
●ボブ・サップ(アメリカ/チーム・ビースト/ジャパンGP優勝)
○チェ・ホンマン(韓国/フリー/アジアGP優勝)
判定0-2 (御座岡28-29/岡林28-30/梅木29-29)
※3R膝蹴りでサップに1ダウンあり
説諭したいことは山ほどあるが、観客が最も盛り上がったのはこの試合。瞬間最高視聴率をマークしたのもこの試合。今の私が求めているものと、一般視聴者が求めているものには大きな差があり、温度差を感じられずにはいられなかった。実際、私も興奮したが、やはり一過性のもので試合後の余韻はいいものではなく、考えさせられた。
以上、簡単ではあるが数試合の寸評をしてみた。これらから分かった私が熱くなれなかった理由は、消化不良の判定試合の多さ、噛み合わないマッチメイク、一過性で先の見えないマッチメイク、王者の強さの威厳不足、以前も見たような試合内容など。今回に限った事ばかりかも知れないが、私が一観客ならTV観戦でもよかったのではないかと思ってしまったと思う。
決勝GPでの組み合わせは、バンナ×アーツ以外は魅力的なカードが出揃ったので、アツクなれるような試合を是非見せて欲しい。また、今回順当に8強が勝ち上がった感があるので、いい意味での裏切りにもまた期待したい。
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総合格闘技向上委員会ver.16.0 全国の皆さん所英男を見てください ~050706_HERO'S~ |
marc_nas 2005.07.09 |
所英男が地上波で鮮烈なるデビューを飾った。しかも、相手はパウンドフォーパウンド(全階級の選手を同階級と考えた場合)で最強と謳われ続けたアレッシャンドリ・フランカ・ノゲイラことペケーニョに。
ZST4兄弟として、小谷直之・矢野卓見・今成正和と共にZSTGPで活躍。その後、矢野・今成が抜け、小谷とのエース対決で敗れ、優勝を至上命令としてZSTGP2に挑むも、大石真丈に敗れレミギウス・モリカビュチスに優勝をさらわれる。名勝負製造機と言われ続けるも、日の目を浴びることはなかった。そんな所に一世一代のチャンスが巡ってきた。舞台はHERO'S。しかも相手はあのペケーニョ。しかし、山本“KID”徳郁、ボブ・サップらの出場する今大会ではマニアには注目されるも、地上波ではカットされてしまうんだろうと思っていた。しかも、壮絶な負けっぷりで。ところが、蓋を開けてみれば、必殺技ギロチンチョークから逃れ、大逆転勝利。プロレスファン所の狙ったのか狙わないのか、風車の理論とも言うべき闘い。判官贔屓無しに称賛を送りたい。
ずっと昔から所英男を見守り続けたシンジニシムラさんを知っている私は、勝手に自分まで親心でテレビに向かって「全国のみなさん、これが所英男です。所を見てください」と叫んだ。川口能活の清水商業時代の大滝監督が静岡地区予選で優勝した際のお立ち台インタビューで「全国のみなさんに能活を見てもらえることが嬉しい!」と涙ながらに叫んだのと同じく。「PRIDEやK-1以外にも、いい選手はいるんです。みなさん分かってもらえましたか?」と明日、会社の中心で所を叫ぼう。
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総合格闘技向上委員会 |
marc_nas 2005.07.08 |
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総合格闘技向上委員会 |
marc_nas 2005.07.08 |
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総合格闘技向上委員会ver.13.0 富平辰文に見た大和魂 ~050614_K-1@広島~ |
marc_nas 2005.06.20 |
K-1 WORLD GP 2005 @ 広島グリーンアリーナを取材してきました。その大会にて富平辰文から感じた大和魂について執筆したコラムを掲載します。stand様にも、同様のコラムを掲載させて頂いております。
トーナメント参加選手8人中7人が日本人の実質JAPAN GPの今回の"WORLD" GP。決勝後の日本人を祝うために舞い降りるはずだった金色の花吹雪は、ボブ・サップ復活を祝う狼煙となってしまった。インタビュースペースに現れた富平辰文の体は、その返り血ならぬ花吹雪を纏い、哀しく光り輝いた。
勝利したボブ・サップを讃えるセレモニーの大音量に掻き消されるように、富平は「武蔵さんがニコラス・ペタスに日本代表の座を奪われた時*より重罪です。他の敗れた日本人選手に申し訳ない。」と言った。その瞬間、先日のサッカー日本代表×北朝鮮戦後の「今日出られなかった(小野)伸二やベンチのみんなのためにも・・・」と言った小笠原満男の顔が浮かんだ。勝利しW杯への切符を掴み取った小笠原と、惜しくもWORLD GP決勝行きへの切符を掴み損ねた富平。明暗こそ別れたものの、共に闘った仲間のために日の丸を背負い闘った二人。
しかし、富平の屈せざる心にしかと大和魂を見た。インタビュースペースで彼が頭に巻いた赤と白のタオルが日の丸に見えたのは、彼が魅せた大和魂からではないだろうか。